2017年4月19日水曜日

『旧神郷エリシア 邪神王クトゥルー煌臨!』

ブライアン・ラムレイ著、夏来健次訳『旧神郷エリシア 邪神王クトゥルー煌臨!』(創元推理文庫、2017年)はSFファンタジー小説である。クトゥルー邪神群との最終決戦である。タイタス・クロウ・サーガの完結編である。タイタス・クロウ・サーガと銘打っているが、本書の実質的な主人公はタイタス・クロウよりも、ド・マリニーがふさわしい。

本書は神話的なファンタジーの世界観であるが、科学技術が発達した世界でもある。優れた魔術師が有能な数学者でもある(317頁)。科学が進むと魔術と変わらないように見えることは面白い。19世紀的な科学万能主義からのオカルト排斥は時代遅れである。

量子力学の不確定性原理を知ったならば、物理法則で説明できないことは存在しないという教条的な科学万能論こそが非科学的になる。昭和の科学少年はラジオを分解して構造を確認したかもしれないが、現代のスマホなどはブラックボックスであることを問題なく受け入れられている。
http://hayariki.sa-kon.net/
哲学者のカントは他人を単に手段として扱ってはならないと指摘した。主神クダニドがド・マリニーに期待したことは、カント流の倫理観では許されないことであった。彼を手段として扱うことにであった。神話的な神は人間臭く、倫理的に完璧でないことが多いが、それにしても褒められたものではない。本書では事前にクロウに相談し、彼に許しを求めているところ(60頁)が救いである。主神に恥じない倫理性を発揮している。
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