2016年11月14日月曜日

福岡陥没事故

道路陥没事故では2016年11月8日の福岡県福岡市のJR博多駅近くの道路の陥没は衝撃的でした。外環道に問題意識を持つ者として翌日のトランプ氏の大統領当選以上に衝撃的でした。

福岡の陥没事故では縦横約30メートル、深さ15メートルの大きな穴ができ、信号機も飲み込まれました。周辺では停電やガス供給停止が起きました。周辺のビルには避難勧告が出され、通勤の足や企業活動に影響が出ました。営業停止のビルもあり、経済損失に対する補償も問題になります。

陥没事故の原因は福岡市地下鉄七隈線(ななくません)の延伸工事です。地下約30メートル地点を掘削機(くっさくき)で掘っていたところ、水が噴出しました。福岡市は岩盤の上にある砂の層に含まれる地下水が流れ込んだ事故と説明しますが、事前の地質調査で危険箇所を見つけることはできませんでした。つまり、現状では回避できない事故ということです。

福岡市交通局建設部の角英孝部長は会見で「岩盤質の地盤の一部が風化するなどして、弱くなっていた可能性がある」と指摘しました。これに従うならば、常に岩盤の風化をチェックし続けなければ安全とは言えなくなります。地下工事の安全性は確立されていません。

水の噴出を確認した工事現場は福岡県警に通報し、地上の道路を交通規制しました。その直後に陥没したために人的被害が出ませんでしたが、これを美談にしてはなりません。福岡市地下鉄の工事では過去二回も陥没事故が起きており、単に事故対応慣れしているだけです。

システム的な不具合に対して、個人の機転と頑張りで大惨事を回避しようとすることは最低です。日本人は最低のシステムの中でも個人の頑張りで対応することを美徳とする傾向がありますが、それでは国際競争に勝てません。それは真の問題解決を遅らせる点では有害とさえ言えます。

日本人はドキュメンタリー番組『プロジェクトX』のような困難を乗り越える物語に感動する傾向がありますが、『プロジェクトX』に取り上げられるようなプロジェクトはプロジェクトマネジメントの視点に立てば失敗プロジェクトです。

外環道も「問題に直面したら皆で頑張って解決しよう」とイージーに計画を進めていませんでしょうか。それが地中拡幅部の変更にも表れています。そのような無計画な昭和の「頑張ります」精神に巻き込まれる住民や納税者はたまったものではありません。

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■ 林田力 Hayashida Riki
■■ 『東急不動産だまし売り裁判』著者
■■◆ http://www.hayariki.net/

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