2017年8月16日水曜日

Re: 働き方改革の良い点

林田です。
問題提起にお付き合いくださりありがとうございます。

先に送付した資料は入れ違えで出したものですが、カバーできているところもあります。
希望のまち東京in東部市民カフェ第160回「働き方改革」資料
http://www.hayariki.net/tobu/cafe76.html

政治が社会に与える影響
政治が社会に与える影響ですが、法制度や定量的なものに限らないと考えます。
労働時間・最低賃金などの法制化(ルール化)だけが影響ではなく、意識改革も影響としてあります。働き方改革実現会議「働き方改革実行計画概要」(2017年3月28日)では長時間労働をなくすことでさえ、「長時間労働を自慢するかのような風潮が蔓延・常識化している現状を変えていく」ことを目指しています。

「自由にものが言えるようになった」は社風というほどではなく、今までは無駄な仕事をなくすことの提言が憚られる雰囲気があったが、働き方改革によって遠慮なく言えるようになったし、言ったことが問題視されることがなく、むしろ積極的に求められるようになったということです。

この変化には働き方改革以外のファクターもあります。
働き方改革の「多様で柔軟な働き方の創設」は働き方改革以前からワーク・ライフ・バランスという言葉で推進されていました。また、生産性向上は企業にとって重要課題であり、そのためには無駄な仕事をなくすことが求められます。
その意味では働き方改革がなくても、似たような流れになった可能性があります。
しかし、働き方改革が強力なエンジンになったことは否定できません。また、働き方改革以前から流れがあったことは、働き方改革の価値を貶めるものではなく、働き方改革が時宜に適った政策であることを意味します。

技術の発達も実現可能にした点で重要なファクターです。
テレワークやテレビ会議は、ゼロ年代からアイデアは出ていたのですが、回線速度や動画ファイルを処理するメモリやディスクなどの点で普及に難がありました。今できるようになったことです。

安倍首相のキャラクターについては、私は会社員時代に付き合い残業をしなかったことを評価します。
これを自由人と見るか無能と見るかで、その人の働き方改革の評価も大体分かります。

強権的というキャラクターも理解はできます。先日の市民カフェは非正規の教員の方が来られました。教育現場の物が言えない雰囲気を問題視されていました。立正佼成会附属佼成病院裁判の傍聴者にも日の丸君が代訴訟の当事者がおられ、同じようなことを言われていました。教育現場においては指摘の通りであることは想像できます。それが運動圏においては自然な感覚とは思います。それと現実の生活圏の肌感覚とのギャップを強く感じています。

強権的なキャラクターと自由に物が言える環境を整合させるとすれば、無駄な仕事をなくす働き方改革は、昭和の合理化や平成のリストラと重なる面があります。
雇用を守るという伝統的労働運動マインドからすれば、強権的に見えるかもしれません。それも真実でしょう。「労働者が働きやすくするために無駄をなくす」は有無を言わさない強烈な大義名分になります。
一方で無駄な仕事に疲弊している現実もあり、無駄な仕事をなくさなくても良いとは絶対に言えません。それは「皆で頑張ろう」的な昭和の集団主義では解決できないところです。

昭和的の定義
私にとって「昭和的」は端的に言えば80年代になります。
それ以前は物心ついておらず、もっと前は生きてもいません。復興期や高度成長期を自分が生きてきた時代と同じような実感を持って語ることはできません。
故に80年代になります。
それを60年ある昭和で形容するなと言われたら、その通りです。実際、私にとって昭和的な会社人間の象徴は「24時間戦えますか」ですが、これは1989年(平成元年)でした。
その後、90年代に入り、ソ連が崩壊し、冷戦が終結しました。新しい時代に入ったと感じたものです。これは「自分の考え方に影響を与えた出来事」で書いています。
http://www.hayariki.net/wiki.html
それ以前とそれ以後を意識的に分けて考えています。この意味で80年代的なヤンキー文化への嫌悪も私の中では一貫性のあるものになります。
一方で80年代と言っても、80年代のものに限定するつもりはなく、80年代までに積み重ねられたものも含みます。故に昭和的との表現を用いました。ここは「もちろん高度成長期に大きくなった会社に属しているので、その影響は免れません」との御指摘と通じるところと思います。

レトロな昭和文化、歴史としての昭和を全て嫌悪してはいません。
むしろ歴史知識は、その時代を生きていた人よりも詳しい面もあるのではないかと思います。
戦前を「すべてが軍事一色で語れるほど単純ではない」も同意します。
現在、運動圏では政治学者の三浦瑠麗さんをヒステリックに弾劾されています。
しかし、「行動しつつ考える市民の連続講座」で取り上げた吉良智子さんの主張も戦時中は女性の社会的地位向上になった面があるという戦前全否定でない要素があります。
この点で連続講座はチャレンジャブルな試みでした。それがあまり評価されなかったことは残念であり、私が運動のメインストリームとのギャップを世代論で分析したくなる一要素になりました。

「高度成長期の価値観から見ればバブル期の価値観は個人主義と見える」ことは、そうなのだろうと思います。シニア世代から見ればバブル世代もロスジェネ世代も同じ個人主義に見えるかもしれません。
しかし、ロスジェネ世代から見ればバブル世代の個人主義はギャップがあります。
マイホーム主義は、社会のためではなく、自分や家族のためであり、その点では個人主義です。しかし、それは定型的な戦後の人生双六を歩むだけであり、個人の選択や多様性という点が欠けています。ロスジェネ世代から見れば、この相違が大きいと考えています。働き方改革も多様な働き方の選択肢を作るという点が重要と考えます。

議論のポイントは明日の議論に活かしたいと思います。

■ 林田力 Hayashida Riki
■■ 『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者
■■◆ http://www.hayariki.net/

希望のまち東京in東部市民カフェ第160回「働き方改革」

希望のまち東京in東部市民カフェ第160回「働き方改革」の資料を掲載しました。
http://www.hayariki.net/tobu/cafe76.html

希望のまち東京in東部市民カフェ第160回では「働き方改革」を議論します。「働き方改
革」や「ワークライフバランス(ライフワークバランス)」「時差Biz」「テレワーク」
などが注目されています。働き方改革で良くなった点、逆に悪くなった点、望ましい働き
方改革について議論しましょう。
▼とき:2017年8月17日(木)午後6時30分~8時30分
▼場所:希望のまち東京in東部事務所
▼住所:江東区東陽3丁目21番5号松葉ビル202号室(永代通り沿い、セブンイレブン隣、
1階がお寿司屋さんの建物の2階です)
▼最寄駅:東京メトロ東西線木場駅徒歩4分、東陽町駅徒歩6分、東陽三丁目バス停留所徒
歩1分
▼参加費:無料。カンパ大歓迎。
市民カフェは誰でも、いつでも、無料で話し合える市民の「場」です。どなたでもご参加
できます。初めての方の御参加も大歓迎です。時間がある方は参加よろしくお願いします。
軽食をご用意しておりますので、お気軽にご参加ください。皆様、是非足をお運びくださ
い。途中入退室も自由です。
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■ 林田力 Hayashida Riki
■■ 『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者
■■◆ http://www.hayariki.net/

2017年8月15日火曜日

東急不動産の十条駅西口再開発事業に取消訴訟

日本海賊TVの今週のテーマです。

東急不動産が参加組合員になっている十条駅西口再開発事業などに対して住民ら約120名が2017年8月1日、東京地裁に取消訴訟を提起した。国や都に対して道路事業認可取消と再開発準備組合の設立認可取消を訴える。

問題の事業は東京都北区の特定整備路線補助73号線と十条駅西口地区第一種市街地再開発事業である。十条駅西口再開発事業は高さ147m、地上40階、地下2階の超高層マンションを建設する計画である。参加組合員 新日鉄興和不動産株式会社、東急不動産株式会社が参加組合員、前田建設工業株式会社が事業協力者、株式会社日本設計が事業コンサルタント。東京都は2017年5月26日に市街地再開発組合の設立を認可した。十条駅西口再開発訴訟原告の一人は、超高層ビル建設は大手事業者が儲けるだけの時代遅れの計画と批判する。

補助73号線は十条銀座商店街と平行に走る道路計画である。原告側は以下のように主張する。道路建設によって数百人の住民が立ち退きを迫られ、商店街は衰退する(「都道整備が「商店街衰退させる」 取り消し求め東京・北区の住民ら提訴」SankeiBiz 2017年8月1日)。

また、道路建設は防災目的と説明されるが、東京は南北方向の風向きが多いため、南北に縦貫する補助73号線は延焼遮断の効果もなく、防災対策上不要である(「都の道路 認可は違法 補助73号線」赤旗2017年8月2日)。道路事業の都市計画決定は1946年で内閣の認可を受けておらず、当初の図面も存在しないために違法である(「十条駅前再開発取り消しを訴え」朝日新聞2017年8月2日)。

補助73号線は再開発事業と一体となって進められている。それどころか、道路建設の目的は超高層マンション建設にあると住民は指摘する。超高層マンション建設の工事用車両の出入りがしやすいように大型道路が必要になるとする。以下は市民団体「庶民の町十条を守る会」の世話人の発言である。

「実は、都と北区は十条駅の真ん前に40階建て、高さ140メートルの超高層マンションの建設を含めた駅前再開発を目指しています。これが本丸です。それを可能にするには、工事用車両の出入りがしやすいように幅のある道路が必要になる。それが補助73号線の新設であり、既存のバス通り(85号線)の拡幅であり、駅の高架化に伴う側道建設です。総工費は847億円。これらの計画で、十条駅周辺では600軒、2100人が立ち退くことになります」(樫田秀樹「小池都知事は未だ視察なし――ゾンビのように蘇った「復興道路」計画の本丸は駅前再開発!?」週プレNEWS 2017年6月30日)

超高層マンションが建設されるだけでも住環境が悪化するが、その建設工事のために立ち退きさせられるならば、住民にとって踏んだり蹴ったりである。東急不動産の再開発は住民無視である。東急不動産の再開発では東京都世田谷区玉川の二子玉川ライズも住民らから提訴された。
http://book.geocities.jp/hedomura/jujo.html
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■ 林田力 Hayashida Riki
■■ 『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者
■■◆ http://www.hayariki.net/

日本海賊TVで佼成病院裁判控訴審判決

インターネット動画放送局・日本海賊TV「金八アゴラ」は2017年8月4日、立正佼成会附属佼成病院裁判控訴審判決を取り上げた。コメンテータは田中正道(支援ボランティアいのちを守る会代表)、田淵隆明(公認システム監査人)、石川公彌子(政治学者)、林田力(希望のまち東京in東部代表、東急不動産だまし売り裁判原告)。司会は須澤秀人(日本海賊党代表)。収録は8月2日。

「金八アゴラ」では佼成病院裁判を二週続けて取り上げた。番組では病院選びが大切であると指摘された。病院によって対応が異なる。セカンドオピニオン、サードオピニオンを求める。立正佼成会附属佼成病院だけは嫌だと言わなければならないとの声が出た。佼成病院は背後の杏林大学にも不安があると指摘された。日本社会は高齢化が進むため、ますます大変なことになる。

立正佼成会附属佼成病院裁判は、医師の説明義務、患者の自己決定権、緩和ケア、尊厳、キーパーソンなど議論する問題が沢山ある。佼成病院に入院していた患者の長男は、誤嚥性肺炎になった患者の治療を数々拒否した。担当医師は、患者本人に断りなく患者の治療を数々中止した。数々の治療拒否は、長男の独断であり、一つ一つの治療拒否について家族達と協議することはなかった。担当医師は、治療方針を患者の家族達と話し合うことはなかった。担当医師は「終末期に延命をどうするかを患者本人には一度も確認していない」と証言した。

患者は、病状が悪化して呼吸困難になりあえいでいても、酸素マスクもされなかった。日中の患者は、息が苦しそうであったが生きようと頑張って呼吸をしていた。夜だけは酸素マスクをしてもらえた。夜だけ酸素マスクをした理由を佼成病院は「夜間に呼吸が停止しないようにしている・・もとより、酸素がある方が本人は楽であろうが・・」「夜は、手薄で・・」と夜に死なれると都合が悪い旨を述べた。

患者は病院の都合で夜だけ酸素マスクをしてもらえて、朝になると外されるという苦しい日々を続けて命を絶たれた。患者の長女は、こんなとんでもない酷いことをされているとは、知らなかった。それどころか、尽くすべき治療は尽くされているものと信じていた。長女は、患者の死から2年後にカルテを見て初めて治療が中止されて、残酷な死なせ方で命を絶たれたことを知った。人間息が出来ないことがどれほど苦しい事か、水に溺れた時の状況を想像してみて下さい。

佼成病院は、がさつである。佼成病院に問題があることは東の空に太陽が沈まないことと同じくらい明らかである。医師は、患者又は家族らから診療の依頼を受けて、患者の利益のために最善の行為を遂行する職責を負う。医師の診療は「善良なる管理者の注意(民法644条)をもって、最も本人の利益に適合する方法(民法697条)」によって実施されなければならない。よって医師には、適正な注意を払い、患者の利益にとって最適な医療を行う法律上の義務が課されている(原告準備書面(4)3頁)。

患者の事情は、一人一人異なる。終末期にどのような治療を受けたいのかは、医師より十分な説明を受けた上で患者本人が決定するべき問題である。人間として一番大事な生死の問題は、医師個人の理念で決められる問題ではなく、患者本人に一度も確認せずに治療中止の決定をするのは、医師の裁量権を逸脱している。患者本人にしてみれば、人生最後の大事な場面での自己決定権を奪われたことになる。

番組では食品安全の話題も出た。HACCAPが導入されていれば、雪印食中毒事件は起きなかったという。他には以下の話題を取り上げた。
・内閣改造前に稲田防衛相辞任
・文在寅大統領、一転THAAD配備促進
・横浜市長、学校給食よりカジノ?
・蓮舫辞任、次は枝野か前原か
・グーグルがフェイクニュース対策として検索にフィルター操作
・蓮池理事長夫妻、逮捕
・HACCP義務化への対応進む
・林業の悪循環、防災に影 人工林管理、行き届かず
・給食費公会計化を考える
・中国の領空侵犯を電波妨害でドローン阻止 政府検討
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■ 林田力 Hayashida Riki
■■ 『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者
■■◆ http://www.hayariki.net/

深川不動堂盂蘭盆会

江東区の深川不動堂では2017年8月15日、盂蘭盆会(うらぼんえ)萬燈供養を執り行った。沢山の蝋燭を灯し、先祖を供養する。戦災殉難者も供養する。盂蘭盆会は彼岸会(ひがんえ)と並び特に盛んに行われる仏教行事である。サンスクリット語に由来する言葉であり、裏盆ではない。裏盆ではないので、表盆も存在しない。
深川不動堂は、千葉県成田市の大本山成田山新勝寺の東京別院である。深川不動尊、深川のお不動様と呼ばれる。真言宗智山派。元禄16年(1703年)に始まった成田新勝寺の出開帳が起こり。本堂の外壁は「真言梵字壁」になっており、仏の力に守護されている。境内には出世稲荷や深川竜神がまつられ、名優五代目尾上菊五郎の碑、力石などがある。
深川不動尊は不動明王の加護が得られるパワースポットである。東急不動産だまし売り裁判原告も2006年5月4日、深川不動堂に参詣し、東急不動産消費者契約法違反訴訟の勝訴を祈願した。2006年9月18日にも参詣し、控訴審の勝訴を祈願した。
https://youtu.be/Om-ZXPc5-BQ
Boycott FJ Next Travelogue (Hayashida Riki) (Japanese Edition) Kindle Edition
https://www.amazon.co.in/dp/B06Y57XQ7W

2017年8月14日月曜日

Re: 働き方改革の良い点

先の拙メールは、ある種の議論(無駄な仕事をなくすための提言)が従来は口に出すことが憚れる雰囲気があった、沈黙を強いられたのに対して、働き方改革の中で自由に言えるようになったという指摘です。

自由に物がいえる組織とは何かという組織論までは射程にはなく、それが働き方改革と直接の狙いでもないこともその通りです。

ボトムアップとされる日本企業よりもトップダウンの外資の方が、まだ物が言える面があるという逆説も成り立つと思います。

その上で「無駄な仕事をなくすための提言」が自由に指摘できるようになったことは、働き方改革の効果として、ある程度の普遍性をもって指摘してよいのではないかと考えています。
但し、働き方改革には異なる複数の側面があり、どちらの要素を見るかによって結論が変わるとも思っており、そこは整理したいと思います。論点明確化のための見直しは、これが主です。

また、最後の公平感が重要なポイントになると思います。
昭和の組織は声を出せる人も主張させない、押さえつけられているという不満があります。
それによって声を出せない人の利害を考慮していると正当化するでしょうが、それが果たして事実でしょうか。
昭和の価値観には、ある種の存在に対してはルールを無視してでも結果の妥当性を追求する傾向があります。それを全ての弱者に適用させるならば一つの見識です。
しかし、実態は自分達が価値を認めた「弱者」に対してだけ適用するダブルスタンダードに映ります。それならばドライに市場原理を適用した方が公平と感じます。

見直し前の資料の最後の【不満】で書いたような負担の不公平感は爆発寸前なくらいに渦巻いていると感じています。
この不満に対して、理解できるか、どう受け止めるかという点は市民カフェで聞きたいと思っています。

■ 林田力 Hayashida Riki
■■ 『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者
■■◆ http://www.hayariki.net/

メガバンク絶滅戦争

波多野聖『メガバンク絶滅戦争』(新潮社、2015年)はメガバンクを舞台とした経済小説である。メガバンク乗っ取りの陰謀が描かれる。文庫版では『メガバンク最終決戦』と改題され、テレビドラマ化された。

本書に登場する企業名は架空のものであるが、現実の企業への当てはめは容易である。舞台のメガバンク東西帝都EFG銀行は明らかに三菱東京UFJ銀行がモデルだろう。メガバンクの中も様々な立場の人が様々な思惑を抱えており、非常に生々しい作品である。

本書の登場人物の多くは何らかの恨みを抱えている。会社への裏切り行為をするような人物も少なくないが、過去の恨みを踏まえれば断罪できない。日本を米国に売り渡す行為でさえ、日本社会への復讐として理解できる。

本書で描かれた経済人は良くも悪くも生き生きとしている。著者の金融実務経験が活かされている。しかし、政治に翻弄されるところが、悲しいところである。日本経済は政治の僕であることを抜け出せないか。それが日本経済の現実なのか。

本書では官僚の無責任さ、自己保身が描かれる。腹立たしい限りである。ところが、物語は一人の官僚の問題にクローズアップされ、主人公サイドは別の官僚に助けられてもいる。官僚体質の問題は曖昧になってしまった。

また、乗っ取りの過程で農協系金融機関が善玉的な参加者として登場する。本書では農協系金融機関の責任者が農協人らしからぬ金融人になっており、それ故に可能である。しかし、農協改革が叫ばれているように古い体質が問題になっている中で、メガバンクの争奪戦に参加することに現実性があるか。著者が農林中金出身であるためのリップサービスと見るべきだろう。

本書は登場人物の一人が「It's a small world.」と言った様に登場人物の間には色々な接点がある。それによって物語が上手く回る。ここは話の筋書きが練り込まれていると評価できる。一方で現実の企業乗っ取り事件と比べると御都合主義になるだろう。

本書では太平洋戦争で父親が戦死し、日本人に敵意を持つアメリカ人が登場する。彼の口癖はSneaky Japanese(卑怯な日本人達)である(173頁)。Sneaky Japでない点は上品である。悪口を言う時は政治的正しさPolitical Correctnessを考えないものではないか。それとも米国のエスタブリッシュメントは悪口でもPCを考慮することが染み込んでいるのか。

本書はグローバリゼーションがテーマとなっている。グローバリゼーションにはステレオタイプな批判があるが、本書では中小企業を支える情の融資を是とする行員が、そのような行風を取り戻すためにヘッジファンドに内部情報を流した(207頁)。グローバリゼーションを悪というような単純なものではない。
http://hayariki.sa-kon.net/
Boycott FJ Next Travelogue (Hayashida Riki) (Japanese Edition) Formato Kindle
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